まず確認したいこと
工夫を考える前に、気になった日の条件を少しだけ振り返ってみましょう。「どんな日・場所か」「運動のどの段階か」「運動のあとはどうか」の3点を見ておくと、このあとの内容を自分の運動に当てはめやすくなります。
どんな日・場所か
冬の朝など、空気が冷たく乾いている日
風の強い日、乾いた風が正面から当たるコース
暖房や冷房のついたジムや体育館
花粉や黄砂が多いと言われている時期
運動のどの段階か
走り始めてすぐ
ペースが上がって、息が荒くなってから
長い時間、水を飲まずに続けたあと
この記事が扱うのは、こうした運動中の乾きとヒリヒリ・イガイガした違和感です。息苦しさや胸の違和感、ゼーゼーする感じは範囲が違うため、記事の後半で触れる相談の目安を先に見ておいてください。
運動のあとはどうか
運動を終えて水を飲み、しばらくすると気にならなくなるのか。それとも、その日の夜や翌朝まで残るのか。残り方によって、運動中の工夫だけでよいか、運動後の過ごし方まで見直すか が変わってきます。
運動中に喉がヒリヒリしやすい背景
「ふだんは何ともないのに、走るとどうして」と感じますよね。ここで原因をひとつに断定することはできませんが、運動の場面でよく挙げられる考え方を3つ並べてみます。
口で息をする時間が長くなる
息が上がってくると、鼻だけでは追いつかず、口で息をする時間が長くなります。口から吸った空気は、鼻を通るときのように温められたりうるおったりしないまま、喉に直接当たり続けると言われています。
吸い込む空気が冷たく乾いている
冬の早朝や、風の強い日の屋外は、空気そのものが乾いています。そこに口で息をする状態が重なると、ヒリヒリした感じが出やすいと感じる人もいます。
季節の変わり目や寒い日の空気と鼻の関わりは「寒いところでくしゃみが出るのはなぜ?」でも触れています。器官は違いますが、冷たい空気の受けとめ方として参考になります。
長い時間、水を飲まないまま続けている
走り始めると、のどの渇きに気づきにくくなることがあります。気づいたときにはずいぶん長く何も飲んでいなかった、という人も少なくありません。
運動中の乾きは、空気の条件だけでなく「いつ最後に飲んだか」も関わります。ふだんの飲み物の選び方は「喉のうるおいを保ちたいときの飲み物の選び方」で整理しています。
運動中や運動後に、息苦しさ・ゼーゼーする感じ・胸の違和感・長く続く咳を伴うときは、この記事の範囲ではありません 。自己判断で走り方を試すより、専門家への相談を考えてみてください。
呼吸・装備・時間帯の工夫
ここからは、運動の前後や最中に取り入れやすい工夫を紹介します。体の変化を約束するものではなく、運動を続けやすくするための選択肢として、できそうなものから試してみてください。
まず、気になる場面と見直すところを表にまとめます。
こんなときに気になる | まず見直すところ |
冬の朝、冷たい空気の中で走る | 首元の装備・走る時間帯 |
ペースが上がって息が荒くなる | ペース配分・呼吸の意識 |
風の強い日、乾いた風が当たる | コース選び・マスクやバフ |
長い時間、水を飲まずに続ける | ボトルの携行・飲むタイミング |
呼吸を整える
走り始めの数分は、鼻から吸うことを意識できるペースで入る
息が荒くなったら、いったんペースを落として呼吸を整える
急に走り出さず、歩きや軽い動きから始める
鼻から吸う時間が長いほど、喉に直接当たる空気は減ると言われています。ただし、無理に鼻だけで息をしようとして苦しくなっては本末転倒です。自分のペースを優先してください。
装備で空気をやわらげる
冬の屋外では、ネックウォーマーやバフを口元まで上げる、薄手のマスクをつけるといった装備が、吸い込む空気の冷たさや乾きをやわらげる工夫としてよく挙げられます。
息が上がると苦しく感じることもあるので、ペースや気温に合わせて上げ下げできるものが使いやすいようです。マスクをしているときの喉の乾きは「マスクの中で喉が乾く・イガイガするときの工夫」で別に整理しています。
時間帯と場所を選ぶ
冬は早朝を避け、日が昇って空気がゆるんでから走る日をつくる
風の強い日は、建物や木立で風がさえぎられるコースを選ぶ
条件の厳しい日は、室内での運動に切り替える
外の空気が気になる日の過ごし方は「外の空気が気になるとき」のハブにまとめています。
水分 のとり方と運動後
短い距離でも、ボトルを持って出る、または途中で飲める場所を決めておく。運動の前にも一口飲んでおくと、最初に飲むまでの時間が短くなります。
運動が終わったら水を一口飲み、しばらくは長く話す用事を避けて喉を休ませる時間をつくるのもひとつの工夫です。
「気温」「風」「ペース」「最後に飲んだ時間」を走った日ごとにメモしておくと、自分はどの条件で気になりやすいかが見えやすくなります。気になる状態が続くときは
装備や時間帯を変えても毎回気になる、運動後も翌日まで違和感が残るようになった、痛みや咳、声のかすれを伴うようになった——。
そんなときは自分だけで判断せず、耳鼻咽喉科などの専門家に相談することを考えてみてください。受診を考える目安は「喉のイガイガが続くときの受診の目安」にまとめています。
とくに、息苦しさやゼーゼーする感じを伴う場合は、運動の工夫を重ねる前に相談を優先してください。乾いた空気と鼻の関わりは「空気の乾燥と鼻のムズムズ:うるおいを保つ工夫」でも触れています。
よくある質問
Q. 走ると喉がヒリヒリするのはなぜですか?
口で息をする時間が長くなること、吸い込む空気が冷たく乾いていること、長い時間水を飲まないことが、運動の場面でよく挙げられる背景です。複数が重なっていることもあります。
Q. 冬のジョギングで喉がヒリヒリします。やめたほうがいいですか?
やめる前に、まずは早朝を避ける、首元の装備で口元を覆う、ペースを落とすといった工夫を試してみてください。それでも毎回気になるなら、専門家に相談してみてください。
Q. マスクをして走るのは苦しくないですか?
息が上がると苦しく感じる人もいます。ペースに合わせて上げ下げできるネックウォーマーやバフから試す、苦しければ外す、というように無理のない範囲で取り入れてみてください。
Q. 運動中はいつ水を飲めばいいですか?
のどが渇く前に、少しずつこまめに飲むのがひとつの目安です。群馬県の水分補給の案内でも、のどがかわく前に早めに飲むこと、スポーツの前後に飲むこと、こまめに分けて補給することが挙げられています。ボトルを持って出る、走り出す前に一口飲む、途中で飲める場所を決めておくといった行動から始めてみてください。
出典: 群馬県「熱中症予防のための水分補給のポイント(早めに!こまめに!)」(2018年7月25日更新)
Q. 運動中に息苦しくなったり、ゼーゼーしたりします。
息苦しさやゼーゼーする感じ、胸の違和感は、この記事で扱っている「乾きとヒリヒリ」とは別の話になります。自己判断で走り方を試すより、「喉のイガイガが続くときの受診の目安」を参考に、専門家への相談を検討してください。


